コラム

1億円の賠償も！子どもの自転車事故が招く悲劇とは!?

更新日：2017.10.28

「キャー！危ない！」、疾走してくる子どもの自転車にぶつかりそうになって、ヒヤッとした経験はありませんか？
大人が乗っている自転車でも危険に感じることがあるのに、子どもが運転する自転車ともなれば、フラフラと安定せず、さらには突然転ぶこともあるので周りも注意が必要ですよね。
今回は、子どもの自転車にまつわる事故の賠償責任や自転車保険についてご紹介したいと思います。

まさか！子どもの自転車事故に賠償金？

2008年9月、兵庫県に住む当時小学校5年生の男児がマウンテンバイクに乗って時速20～30キロで坂を下り、歩行者（62歳）の女性と衝突。女性は頭を強く打ち意識不明の重体、意識が戻らない状態となりました。
その後、この事故をめぐる損害賠償訴訟が行なわれ、神戸地裁は男児の母親に対して約9500万円の支払いを命じ、子どもを持つ親たちに衝撃を与えたのは記憶に新しいところ。
この判決が世間に強烈なインパクトを与えたのは、高額な賠償額だけではなく、子どもが運転する「自転車の事故」に対して、その場にいなかった親に1億円近い賠償責任が求められたことです。
昔から自転車には「自動車と違って安全な乗り物」というイメージが根強くあり、安全意識が低い面があります。しかし、自転車でもひとたび事故を起こせば本人だけでなく他人を傷つける武器になり、死亡や障害が残るような事故になれば、高額な賠償額を支払う責任が伴います。

月々数百円の自転車保険も登場

子どもの自転車運転は「飛び出す」「安全確認をしない」「友達とのおしゃべりに夢中になっている」など、危険を察知できないことがあります。
実際のところ、2014年中に警察庁に報告された自転車事故のうち2割近くが15歳以下というデータもあり、子どもの運転は大人同様、若しくは大人以上に事故リスクがあると言えます。
なお、先に挙げた自転車事故の判例後、兵庫県では全国で始めて自転車保険加入を義務化しました。自転車の賠償責任が徐々に認知されるようになり、今後、自転車保険の加入は任意ではなくなってくるかもしれませんね。

では、自転車保険とはどういったものでしょうか？　興味はあるけれど、手続きが面倒なのではと加入をためらっている人も多いはず。
けれど、単独で加入する自転車保険は自動車の保険と違い補償対象を自転車事故に絞っているため、申込みが簡単かつリーズナブルです。しかも、コンビニやスマホからでも気軽に申し込みができ、保険によっては月々数百円から申込める保険や、子どもをターゲットにした保険も登場してきていますよ。
では、子ども向けの自転車保険とはどのようなものなのか具体的にみていきましょう。

子ども向けの自転車保険とは？

自転車保険の基本的な補償は、大きく分けて以下の3つです。

１．他人にケガなどをさせてしまった場合の賠償責任補償
２．モノ（自動車・バイク・家の塀など）を壊した場合の物損補償
３．本人がケガをした場合の補償

さらに、子ども向けには以下のような補償や特約付きがあります。

１．示談代行サービス特約
２．弁護士費用特約
３．親などの保護者に万が一のことがあった場合に育英費用を補償
４．自転車以外にもスポーツやクラブ活動中の事故の補償
５．ノロウィルスなどの感染症や熱中症で後遺障害が生じた場合の補償

自転車事故の怖い点は、被害者になるケースも多いこと。加害者が保険に入っていなければ、怪我に伴う治療費などが自己負担になる可能性もあります。
仮に加害者に賠償の意思があったとしても、賠償を求めるために警察や病院、役所などを回って事故の示談交渉をするのは精神的にとても大変です。ですので、被害者になった場合も想定して、示談代行サービス特約や弁護士費用特約も付けておくと安心ですね。

既に入っている損害保険で自転車保険がカバーされていることも

また、単独の自転車保険に加入しなくても、既に契約している火災保険や自動車保険に個人賠償責任保険を特約で追加してあり、自転車保険がカバーされていることがあります。
特約はオプションのようなものなので、自転車保険単独で加入するよりもグッとお得ですよ。特約を付けていなかったという場合でも、後から特約を追加できることがあるので、一度保険会社や代理店に確認するといいでしょう。

自転車の事故に伴う賠償責任や自転車保険についてお伝えしてきましたが、安心して子どもを自転車で送り出せるよう、自転車の安全意識を高め、自転車保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか？

＜プロフィール＞
西ノ宮ふゆみ
イギリス在住。かつて金融機関で富裕層向け金融アドバイスや社員教育を担当。イギリス人と結婚後に渡英し、現在男児二人の母。メディア向けライターとして、金融・医療・育児・美容などあらゆる分野の問題を分かりやすく発信している。

写真© chihana - Fotolia.com

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