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自然体験で子どもの脳と心が育つ5つの理由!親子におすすめの自然遊びも

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自然体験で子どもの脳と心が育つ5つの理由!親子におすすめの自然遊びも

普段の生活ではなかなか味わえない経験ができる「自然体験」。子どものうちにたくさん経験させてあげたいとは思う方も多いのでは?そこで今回は、自然体験が子どもの成長に与えるメリットや、親子におすすめの自然体験遊びをご紹介します。

【監修】瀧 靖之(たき・やすゆき)先生
医師・脳科学者|東北大学加齢医学研究所教授

東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で、脳のMRI画像を用いたデータベースを作成。これまで16万人以上の脳画像を読影、分析。脳の発達や加齢のメカニズムの研究を行っている。HP▶加齢医学研究所 機能画像医学研究分野

自然体験とは?子どもの脳と心を育てる5つの理由

自然体験とは、自然の中で行われる自然体験活動のことで、キャンプやハイキング、登山、釣り、動植物や星の観察などがさまざまなものが挙げられます。

そもそも、子どもに自然体験をさせることで、どんな影響があるのでしょうか?

「自然体験は、子どもたちの脳と心を成長させる」と話す、東北大学加齢医学研究所教授の瀧 靖之先生に伺いました。

①自然界は知的好奇心を無限に刺激する

昆虫、植物、動物、魚介類、石や砂、空や宇宙…自然の中には子どもの心をときめかせる要素が無限にあります。

人工的な遊び(ゲームやテーマパーク)も魅力的ですが、やはり人の手で作られたものには限界があり、どこかで飽きてしまいます。

一方で、自然の興味は無限!

「私自身、子どもの頃は蝶に夢中でした。どうして蝶はあんなにヒラヒラ飛ぶの?どこに行けば違う種類の蝶と出会える?と興味津々でした。

それが生き物全般への興味、ひいては理系の学問へと結びついていったのです」(瀧先生)

また、学力の源になるのは「知的好奇心」だといいます。与えられたものを機械的に選ぶよりも、どうしてだろう?と好奇心をもって学んだ方が定着しやすく、勉強も楽しくなります。

②予測不可能なことが柔軟な思考を育てる

自然体験では予測不可能なことが起きるもの。突然雨が降ってきたり、ハチが飛んできたり、道が悪かったり…。そんなときこそ「賢さ」を身につけるチャンスです。

「どうすればとっさに身を守れるのか、問題解決できるのかを考え、不測の事態を楽しみに変える方法を身につけることができれば、人生のさまざまな場面で困難を乗り越える力になるはずです」(瀧先生)

このように、困難に立ち向かい、克服しようとする力を"レジリエンス"と言います。釣りなどのアウトドアでは、初めての挑戦や困ったこと、失敗体験などが多数起こりますが、それを何とかしようとすることで、レジリエンスが鍛えられます。

レジリエンスは、ストレスフルと言われる現代で、心を健やかに保つためにも重要な力として注目されています。

③人との関りがコミュニケーション能力を育てる

「自然環境の中では、新しい体験が次々にやってきます。みんな最初は不安だから、ほかの子の動きを参考にしますし、助け合う。仲間意識も育ちます」(瀧先生)

また、わからないことがあれば、知っている大人に聞いたり教わったりする機会も多くなります。

「私は魚に興味があるので釣りが好きなのですが、一緒に行く友人は料理が好きで、釣った魚をその場でさばいてくれます。それぞれ楽しみ方が違うので、新しい発見も多いもの」

人との関わりは、子どものコミュニケーション能力を育ててくれるのです。

④「できた!」の成功体験が自己肯定感を育てる

諸外国の子どもに比べ、日本の子どもは自己肯定感が低いことで知られています。自己肯定感を育てることは、なぜ大事なのでしょうか。

「自己肯定感とは、自分は何かを成し遂げられる存在だ(自己効力感)という気持ちや、自分は何ものにも代えがたい大事な存在だ(自尊感情)と信じられる気持ちのことを言います。

また、自己肯定感は、自分を大切に思う気持ち。自分を大切だと思うからこそ、自分以外の人のことも大事に思える。よい人間関係を築くうえで自己肯定感は欠かせません」(瀧先生)

「うちの子、自分に自信がないみたい」と思うなら、ぜひとも自然体験へ。自然の中には「できた!」「やり遂げた!」と思える場面が多いのです。

⑤自然体験することで主観的な幸福度が高まる

「日常生活の中で、私たちの脳は知らず知らずのうちに緊張を強いられています。けれど自然の中では脳の緊張がほぐれ、理屈よりも五感が優位になって幸せを感じる気持ちが高まるんです。

これも健やかで前向きな心を育てるために大切なことなんです」(瀧先生)

主観的幸福度が高い人ほど、動脈硬化や高血圧、糖尿病のリスク、認知症のリスクが低いことがわかっているそう。

脳と心を育む!子どもと自然体験を10倍楽しむ方法

キャンプ、釣り、登山などの自然体験は、子どもの知的好奇心や感性、幸福感を育て、脳を成長させるのに効果があるそう。

それぞれどんなメリットや効果があるのかご紹介します。

【キャンプ】非日常を五感で感じることができる

(写真:iie designさん)

①相手の気持ちを理解する"共感性"
キャンプでは、家族で過ごす時間が長く、皆で協力する機会も増えることで"共感性"が身につきます。これは、相手の気持ちを理解し適切な行動をとるための力。

学習、仕事、すべてにおいて重要です。家族で協力してキャンプを楽しむのはこの力を伸ばすのに役立ちます。

②計画してやりとげる"実行機能"
テントの設営などを行うことで実行機能が養われます。これは、計画して行動する力で学業にも大きく影響します。

また、親子で料理をするのは実行機能を伸ばすのにとても効果的。持ち物リストを使って親子で一緒に準備をするのもおすすめです。

自然の中で新しい遊びを考えたり自然観察をするのも、子どもの知的好奇心や五感を刺激するいい体験です。

【釣り】釣った魚を食べるのが子どもにとって食育にも

(写真:AMTAs MAMさん)

①論理的に考える"思考力"
「この時期にこの場所だとどんな魚が釣れるんだろう?」「どんな仕掛けでどんな餌だと釣れるかな?」と、論理的に考える力が身につきます。

そのためには自分で色々調べることも大事ですが、自分で調べてわからなかったら人に聞くのも大事なこと。好奇心を伸ばすという意味でも◎です。

②計画してやりとげる"実行機能" 
場所や時間などの事前リサーチをしたり、釣るためにどうするか考えたことを実践するのは、実行機能を伸ばします。また、釣った魚を親子で一緒に捌いて料理するのも、この力を鍛えるのに最適です。

③我慢して待つ"忍耐力"が育つ
子どもを飽きさせない工夫も大切。子どもはずっと釣れないと飽きてしまいがちですが、一度釣れると嬉しくなり、またその感覚を味わいたくなります。

そうしているうちに、釣れなくても我慢する忍耐力もつきますよ。

【登山】家族で協力し合って達成感を味わう

(写真:AMTAs MAMさん)

①最後まで"やり抜く力"
登山では、目標を成し遂げる力・やり抜く力が身につきます。これは学業においても非常に重要な能力です。それに、もちろん登山は運動になりますから、体にもとてもいい。脳にも体にもいいことずくめです。

②あいさつから始まる"コミュニケーション力"
山であいさつをすることでコミュニケーション力が養われます。

そして、山の狭い道で人とすれ違うときは譲り合うという文化もあるので、これが身につくと、生きるための力となる"思いやり"や"共感性"が育ちます。

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海や山、遠出しないと自然体験はできない?

自然は身近なところでも十分に楽しめます。都会にも自然豊かな公園がありますし、そこに出かけて子どもを野放しにして遊ばせてみましょう。

「『虫を見つけた』『花がきれいだった』など何か発見があるはず。それを何度か繰り返してみてください。人間には『単純接触効果』といって、何度も繰り返すことで好きになるという特性があるのです」(瀧先生)

また、自然体験をもっと堪能するには、事前の知識も必要だそう。

「図鑑などで昆虫や魚、草花などを見ながら「あそこで見た花はこれだね」など結びつけると記憶が定着し、次への興味に結びついていきます」

子どもとの自然体験。親はどうかかわるべき?

子どもをやる気にさせるための最大の条件は、大人が本気で楽しむこと!

子どもは模倣の能力が非常に高く、信頼できる大人が楽しそうであれば自分も楽しくなります。ところが、大人が嫌そうにしていたらイヤになる。

「親が子ども以上にはしゃぐ」「親が楽しむ姿を見せる」など、まずは親が楽しむこと。"子どものため"と必死になりすぎてしまうと楽しさも半減してしまいます。

また、大人は余計な手出しをしないことも大切です。子ども自身でどんどんコツをつかんで上手になることで、大人にほめられるし、できることで自信につながります。

親子で思いっきり楽しむ、これが自然体験で子どもの脳を育てるための第一歩です。

撮影/土屋哲朗 
まとめ・文/暮らしニスタ編集部
※この記事は、暮らしニスタ連載「親子で一緒に♪アウトドア育脳のススメ」を再編集したものです。

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