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【専門家発】それって虐待かも!?子どもを激しくしかる夫への対処法

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【専門家発】それって虐待かも!?子どもを激しくしかる夫への対処法
育児に悩みは尽きないもの。ママたちの悩みに、子どもの「発達心理」の研究をされている菅原ますみ先生(お茶の水女子大学教授)がアドバイスします。

【相談】
「子ぼんのうで、私への思いやりもある優しいパパです。仕事は忙しいのですが、子どもともおもちゃなどでよく遊んでくれます。ただ、子どもがおもちゃを乱暴に扱ったり、夜に走りまわったりするとものすごく怒り、それが本当に怖いです。

私自身、自分が忙しいときに子どもが甘えてグズグズしたりすると、悪いと思ってもついどなってしまいます。お互い様なのですが、夫が子どもをおもいっきり叱っていたり、『うるさい!』とどなっているのを見るとムカつきます。パパは私のように一日中子どもと接しているわけではないのだから、多少はがまんしてほしいのに……」(2才女の子、0才女の子のママ)

「本当に怖い」というのはどのレベルですか?

子ぼんのうで、子どもとよく遊んでくれるパパなのですね。でも私は、「ものすごく怒り、本当に怖いです」という言葉がとても気になりました。見当違いの心配かとは思いますが、児童虐待は年々増えているので、念のためにお話しさせていただきますね。

平成25年度の児童虐待の件数は7万3802件、26年度には8万8931件と毎年増加しています。「虐待についての情報がいきわたったことで、通報が増えている」という側面もあるようですが、実際に子育てに苦しみ、虐待ゾーンに足を踏み入れてしまう親が増えていることも確かだろうと考えられています。

虐待には「身体的虐待(暴力や拘束など)」「ネグレクト(育児放棄)」「性的虐待」「心理的虐待(暴言、無視、きょうだい差別など)」があります。子どもに直接何かしなくても、夫が妻に暴力をふるう姿(DV)を子どもに見せることなども心理的虐待に含まれます。

ふだんは子どもに優しく、いっしょに楽しく遊ぶ親であったとしても、しかるときに体罰をともなったり、子どもの人格を否定したり、脅すようなことを言う場合には「虐待している」ということになるのです。

虐待は子どもの成長において、深すぎる心の傷となって残ることが多いものです。そしてそれは、子どもの自己肯定感や自信の形成に、大きな悪影響をもたらします。成長にともなって、反社会的な行動や引きこもりなど、さまざまな問題行動の原因となることも少なくありません。

激しい怒りをぶつけても、2才児のしつけの効果は低い


虐待とまではいかないにせよ、激しい怒りは子どもを萎縮させますし、しつけとしての効果も低いことがわかっています。恐怖が先にたってしまい、何が原因で怒られているのか理解することができなくなるからです。

また、2才児は自己コントロール力が弱く、長期的な記憶力も十分に育っていませんから、今日怒られても明日にはまた同じことを繰り返してしまうものです。激しく怒っていればいるほど、その怒りはエスカレートしがちで、なおさら危険です。

とはいえ、怒っているパパに「そういうしかり方はよくないよ」「虐待みたいだよ」と言ったとしても、火に油を注ぐ結果になるだけで、あまり意味はないと思います。大事なことは、パパが怒る場面をなるべくつくらないようにすることです。

まず、遅い時間に走り回るのはできるだけやめさせましょう。ただ、2才の子は言われてもなかなか守れないものですから、昼間たっぷり遊んで、夜コテンと寝てしまう生活習慣をつくることが必要だと思います。昼間はできるだけ外に連れ出して遊ばせ、夕飯の時間、お風呂の時間も早めるようにしましょう。夜早く寝てくれれば、パパとお子さんのトラブルも必然的に減ると思います。

パパが怒り過ぎないように先手を打ちましょう

ものを投げるなど、パパがカチンときそうな行動をしたときには、「おもちゃ投げると壊れちゃうよね。やめようね」と、ママがすばやくやめさせる必要があります。やめられたら「わぁ、えらいね。がまんできたね。さすがお姉ちゃん!」とほめてあげましょう。

パパに対しては、機嫌のいいときに「2才って、自己コントロール力が弱いくせに自己主張が強い大変な時期なんだって」「私もついどなっちゃうんだけど、実は全然伝わらないらしいよ」など、さりげなく正しい情報を伝えていくといいと思います。

確かにママは、0才の子の面倒も見なくてはいけないし、昼間は子どもの世話に追われてへとへとになっていることと思います。つらい気持ちはわかりますが、この状況を改善できるのはママしかいません。3才をすぎれば、多少「やっていいこと・悪いこと」の区別はついてきますから、この1年をがんばって乗りこえていきましょう。

取材・文/神 素子
お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授。子どものパーソナリティー発達と精神病理を専門とし、0才~30才までの発達を追う、日本では数少ない長期にわたる縦断研究をおこなう。働きながら子どもを育ててきた先輩ママでもある。
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