コラム

ジョージ王子も通う！世界で支持される「モンテッソーリ」教育とは？

更新日：2017.10.28

イギリスのウィリアム王子とキャサリン妃の長男であるジョージ王子が通うことが発表された幼稚園の教育方針で、その名前が日本にも知れ渡った「モンテッソーリ教育」ですが、「いったいどんな教育なの？」と思った人も多いはず。

モンテッソーリ教育は、20世紀初頭にイタリア人医師であるマリア・モンテッソーリによって考案された教育メソッド。欧米諸国ではオルタナティブ教育（代替教育）として導入され、徐々に世界へ広がっていき、世界の教育界に多大な影響を与えたと言われています。
日本でも導入する幼稚園が増えていますが、まだまだ聞き慣れない「モンテッソーリ教育」について、今回はご紹介したいと思います。

モンテッソーリ教育の目的

生まれながらに人間が持つ「自ら成長・発達する能力」を、成長過程において適切な環境と援助をすることで「自立」「責任感」「思いやり」などの能力を引き出し、「生涯を通して学ぶ姿勢を持つ人間を育てること」を最終的な目的としています。
子どもの人格を尊重し、子どもが生まれながらに持つ能力を伸ばしていく教育メソッドです。

モンテッソーリ教育の特徴

▼個別活動
先生の指示に従いながら集団で行う日本的な教育とは違い、子どもが自ら活動を選び、個人で自由に自分のリズムで納得がいくまで活動します。

▼自発性を尊重
日本では「先生＝教える人」ですが、モンテッソーリ教育における先生は、知的好奇心が芽生えるような教具を子どもが自ら選べる自由な環境を提供する「援助者」。先生は子どもの成長を手助けし、自発的な活動を大切にします。

▼縦割りクラス
日本の幼稚園では年齢別のクラス編成ですが、モンテッソーリ教育では異なった年齢の子どもたちを混合した縦割りクラス。お互いに学び合い、さらに年下の子の世話をしたり、教えたりすることを学習します。

5つの教育フィールド

▼1. 日常生活の練習
日本ではマット運動やリトミックなどが「運動」の時間ですが、モンテッソーリ教育では洗濯や料理などの日常生活の作業を「運動の教育」と位置づけ、自分の意思に合わせた体の動きを身につけます。最終的には自分のことが自分できるようになり、「自立心」も育めます。

▼2. 感覚教育
6歳までは「視覚・聴覚・触覚・臭覚・味覚」が著しく発達する特別な時期で、感覚の発達は知的活動の基礎となるため、モンテッソーリ教育ではとくに重視しています。独自に開発した感覚教具を使い、比較することをベースとした「対にする」「段階づける」「仲間分けする」という3つの操作を学びながら集中力や忍耐力を養います。

▼3. 言語教育
「日常生活の練習」と「感覚教育」を通して、子どもの興味に合ったゲームや言葉遊びで語彙を増やします。また、発達段階に合わせた教具を使い、「聞く→話す→読む→書く→文法」というステップを踏み、自然にコミュニケーション力を身につけます。

▼4. 算数教育
「量物」「数詞」「数字」という3つの形態を一致させることで数量概念を学習しまう。具体的には、数字の「3」だけを学習するのではなく、物質的な「●●●」を3の量として、言葉としての「さん」を3の数詞として、同時に認識させます。

▼5. 文化教育
先人から受け継ぐ「知識」や「生活様式」などを発展させるための教育が行われます。歴史、地理、生物、音楽、道徳、宗教など、幅広い分野を体系的に学習します。

家庭でできること

「モンテッソーリ幼稚園に行かせたいけれど家の近くにない」という方のために、家庭でできることをご紹介します！
実は、モンテッソーリ教育は「家庭から始まる」と言われているので、家でも「自立心」を養うことは十分に可能ですよ。

・野菜きり：水を入れたボールで野菜を洗い、皮をむいたり切ったりする作業
・ボタンつけ：針に糸を通すことから、ボタンつけまで
・文字練習：トレーシングペーパを使用した文字の書き写し
・アイロンがけ：ハンカチなどの簡単なものをアイロンがけ
・おもちゃの片付け：おもちゃをいつも同じ場所に片付ける
・着替え：いつも同じ場所に着替えを置くようにする
・洗濯物をたたむ：小さいうちは靴下の片側を探させたり、「タオルください」などと声をかけたりして持ってこさせる
・靴の着脱：自分で靴を履いたり、脱いだりさせる

どれも最初はかなり時間がかかり、なかには危険が伴うものもあります。
ですが、まずは親が子どもの前でゆっくりとやってみせることから始めてください。回数を重ねて1人でできるようになれば、自立心・集中力が養えるだけでなく、自信も持てるようになりますよ。

また、時間がかかりすぎても「早く！」「まだ？」「これじゃ、ダメだよ！」などと否定的なことは絶対に言わないこと。
そして、できたときにはきちんと褒めてあげましょう。子どもの年齢や興味に合わせて、少しずつ生活に取り入れてみてくださいね。

モンテッソーリ教育は、自立心だけでなく責任感や思いやりなども育てられる教育メソッド。世界で指示されるのにも頷けますよね。
一口に「モンテッソーリ」と言っても、幼稚園によって内容や教具が異なることもあるかもしれません。まずは、幼稚園を見学して自分の目で確かめることをオススメします！

＜プロフィール＞
ナツキレイ
フリーライター/日本語家庭教師
タイ在住を経てオーストラリアへ。現在はオーストラリアの田舎で日本語を教える傍ら、ライターとしても活動。政治・経済・教育などの分野から、子育て・旅行・セレブ情報など生活や趣味の分野まで幅広いジャンルで執筆中。定期的に英語のニュース・雑誌サイトの記事を翻訳してリライトも行う。日本生まれ海外育ちの2児の母。

写真© ucchie79 - Fotolia.com

Profileナツキレイ

フリーライター/日本語家庭教師。タイ在住を経て、オーストラリアで日本語を教える傍ら、ライターとしても活動。政治・経済・教育などの分野から、子育て・旅行・セレブ情報など生活や趣味の分野まで幅広いジャンルで執筆中。定期的に英語のニュース・雑誌サイトの記事を翻訳してリライトも行う。日本生まれ海外育ちの2児の母。

編集部ピックアップ

PRJackery（ジャクリ）ポータブル電源が日常使いに便利すぎるワケ。防災グッズの見直し始めませんか？

親が思ってもいないのに「褒めて育てる」は絶対ダメ。簡単で最も効果のある声がけとは

PR『ペントハウス』韓ドラ初心者でもハマる人続出！みんなのリアルな声から分かったおすすめポイント5

「教科書や先生は本当に正しい？」AI時代を生きる子どもたちにゼッタイに必要な経験とは