鉄骨住宅の構造・工法比較ー【第3回マイホームの探し方】

鉄骨住宅の構造・工法比較ー【第3回マイホームの探し方】
投稿日: 2017年4月13日 更新日: 2017年4月13日
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「鉄骨造」は「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の2種類に分類されます。住宅で見かけることが多いのは「軽量鉄骨造」で、数々の大手ハウスメーカーが独自の商品を展開しています。

一方、「重量鉄骨造」の建物は低層住宅から高層ビルまで幅広く、店舗併用住宅や1階が駐車場の住居など、大空間と強度が求められる住居に採用されています。今回は、そんな鉄骨造住宅の特徴をご紹介します。

鉄骨造のメリット・デメリット

鉄骨造とは、鉄製や鋼製の柱や梁を組んでつくる構造のこと。Steel(=鉄骨)の略から「S造」とも呼ばれ、柱と梁の接合部を溶接で接合したラーメン構造や、筋交いで補強するブレース構造、三角形の集合体で建築物を造るトラス構造があります。

職人の腕や立地環境によって品質に差が生じやすい木造住宅と比較し、鉄骨造住宅の柱や梁は工場で生産されているので品質や供給が安定しています。錆が発生しないように管理できれば、長い耐用年数を見込めることも特徴です。骨組みはそのままに、間取り変更を伴う大規模なリフォームをしやすく、世代を超えて手を加えながら住み続けやすいでしょう。

また、木造2階建ての場合は構造計算を行う義務がありませんが、鉄骨造は構造計算が必須のため、一定以上の耐震強度が期待できる安心感もあります。

一方、弱点としては、鋼材が火熱を苦手とする素材で、540℃を超えると強度が急激に失われることや、錆止め塗料でしっかりと塗装されていない躯体は漏水などで錆びが生じ、劣化しやすいことが挙げられます。

逆に言えば、断熱工事や防錆処理、耐火被覆と呼ばれる保護を適切に行えば、永きにわたって快適に暮らし続けることができるでしょう。

重量鉄骨造

重量鉄骨造

鉄骨造は、厚みがある鋼材を用いる「重量鉄骨造」と、厚さ6mm以下の鋼材による「軽量鉄骨造」に分類されます。重量鉄骨造で主に用いられるのが、ラーメン構造です。

ラーメン(Rahmen)とは、ドイツ語で「枠」や「骨組み」のこと。ラーメン構造は、柱と梁を組んで、その接合部をボルトや溶接で強力に接合する「剛接合」という方法を用いた軸組工法で、鉄骨造の中で最もポピュラーな構造として知られています。

耐力壁やブレース(筋交い)を入れなくても、地震や風といった水平方向の力に耐えることができるため、開口部や間仕切りの位置や大きさを自由に設定できることが最大の魅力です。

デメリットとしては、柱や梁といった構造材が重いため、新築時に地盤を盤石にするための改良費用や、運搬費が嵩みがちなこと。また、柱や梁が太いため、少ない本数で骨組みを作れる反面、構造材の存在感が大きいこともデメリットと言えるでしょう。

空間にデッドスペースを生み、凸凹が露出することでデザイン性を著しく損なうケースもありますので、構造周辺のスペースを有効に活用するための工夫や、室内に露出した柱や梁をデザインに活かす工夫が必要です。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造のほとんどが、ブレース構造を採用しています。ブレースとは、柱と柱の間へ対角線上に入れて構造を補強する部材(筋交い)のこと。柱と梁に加えて、ブレースを入れた「面」を一定間隔で配置することで強度を保ち、地震や風などの、建物に加わる水平の力に耐えることができます。

木造軸組工法と似ている構造で、ラーメン構造と比べて柱などの部材を小さくしやすいこと、木造と同程度の工期や費用で施工できることがメリットです。

ただし、ブレースが必要なため、重量鉄骨造のような大空間を作るには不向き。また、軽量鉄骨造の住宅はほとんどが、大手ハウスメーカーによる独自の工法で建てられています。

メーカーならではの技術や工程で施工するため、大規模なリフォームは同じメーカー以外に頼みづらい側面があります。他社にリフォームを依頼する場合、ブレースは撤去できない場合がほとんどですので、ブレースの入れ方や見せ方を工夫することで開放感やデザイン性を高める工夫が必要でしょう。

構造の違いを踏まえた家づくりを

このように、重量鉄骨造と軽量鉄骨造には様々な違いがあります。一般的な鉄骨造の住宅はほとんどが軽量鉄骨造ですが、強度にこだわった家づくりをするなら、重量鉄骨造を検討するのも手です。

どのような立地に、どのような家を建てたいのか。将来どのようなリフォームをする可能性があるのかまで考えて、構造を鰓で見てはいかがでしょうか。

執筆者プロフィール

斎藤若菜 フリーライター
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。


【引用元記事】
https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-0725/


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